タイムマシンにおねがい

前々から不思議に思っていたのだが、よく自動車教習所などで見せられる交通事故の瞬間をドライバーの目線から(つまりフロントガラス越しに)捉えた映像は、一体どうやって撮られているのだろう。


その瞬間が来るまでカメラをずっと回しっ放しにする、単純に考えるとそうなると思うのだが、仮にそうだとすると、そのカメラはいつ起こるか分からない事故が起こるまで延々と映像を録画し続けるのだから、自分の車が道路を走行しているだけの風景を映した膨大かつ無意味な映像記録が手元に残ることになり、どう考えてもこれは非効率的で、現実にこの方法が採用されているとは考えにくいのである。
てなことを常日頃ではないけどたまに考えてて、そしたら昨日か一昨日か、午後のワイドショーでたまたまその事故の瞬間を記録するカメラ(ドライブレコーダーというらしい)の特集をやっていた。それによるとこの機械には、急激な速度の変化や車体への衝撃なんかを感知して、その前後20秒(事故前15秒、事故後5秒)の映像を記録するという機能がついているらしい。たぶん飛行機などに搭載されているブラックボックスにもこのシステムが使われているのだと思うのだが、僕はそれ見た時、結構目からうろこがぶわっと大量に出たような気がした訳である(周知の情報だったら悔しいっす)。
「時間を遡って映像を記録することが出来るカメラ」、こいつはなかなかフューチャリスティックな代物じゃないか!


カメラの性能がどれだけ向上しても、これまで撮影という行為だけはリアルタイムの制約から逃れられなかった訳だから、その点でこれは画期的な装置ではないかと思うのである。まさに映像のタイムマシンではないかと。
ドライブレコーダーの機能は、本体を手で叩くといった程度の衝撃でも有効らしいので、このドライブレコーダーを目線に近い位置に装着して歩けば(カメラ本体の寸法は煙草の箱よりひと回り大きい程度。将来的に、眼鏡などに取り付けられるサイズが実現すれば……)、日常生活で衝撃的な場面に遭遇した時など、すかさずこのレコーダーを手で叩くだけで、おもしろ映像・ハプニング映像の類を余すことなく記録できるのではないか。あるいはそうしたホームビデオ的な使い方だけでなく犯罪抑止にも繋がるだろう、というようなことは別にどうでもいいけど、更なる小型化および軽量化、遡れる時間の延長といったスペックの向上など、そういった改良の余地も含めて、撮影機材の新時代がやってくるような予感が漠然としたのである。