全員、狂人。

キアロスタミの『ライク・サムワン・イン・ラブ』をDVDで観たが、僕が間違っていなければこの映画はサイコホラーだ。元大学教授の老人も女子大生もその彼氏の加瀬亮も、登場人物の皆が皆、多かれ少なかれ狂っていて、観ている側は誰一人信用できない。極めつけは最後の方に出てくる隣人のババア。こいつには心底戦慄を覚えた。救いのないラストに至るまで終始不安な気分にさせられたが、まだまだこういう挑発的な作品が撮れるキアロスタミの感性を喜ぶべきなんかな、とか思ったり思わなかったり。