ファッションパンクもパッションファンクも

12/25 (月)


岡庭さんの手伝いを蹴って、映像四年K原さんの撮影にスタッフとして参加する。
朝、学校での用事を済ませた後、京王井の頭線永福町駅で下車。撮影現場となるアパートに向かう途中、「カメラマンの人が恐いけど頑張って」と言われ、岡庭さんの撮影に行っとけばよかったと即後悔する。
現場に着いてみたらその通りおっかない人がいて、名前を仮に小林さんとするが、初対面でいきなりお前呼ばわりされてまじで怯む。小林さんはいわゆる現場の人という感じで、根は多分いい人なのだが撮影中はとても厳しい。きびい。
現場では、撮影監督を中心に役割分担がはっきりしており、誰に指示されるでもなくそれぞれが自分の仕事をこなす(ちなみに自分は音声)。無駄なく統制された動きのひとつひとつに、これが全員サッカーか、と今更ながら目から鱗である。
とは言ってもこういう現場こそ普通なのだが、自分の周りの撮影があまりにも一人フリージャズな感じなので、その格差には軽く衝撃を受けてしまう。


物心ついた時から適当万歳の僕は、久々に味わう緊張感(おもに小林さんから発せられる)の中、「あー俺今日殴られるかもなー」とうっすら感じながら、なるべくそつなく従順に仕事をこなそうと必死。鷹彦がびびるのも頷ける。
午後九時、何とか殴られることなく、撮影が終了。映像OBの人達とも何となく仲良くなった気が。


僕のヘルプがちゃんと役に立ったのかは分からんけど、四年の最後になって色々と学ぶことの多かった一日。あと、いかに自分の撮影が適当かを思い知る。
まあ、僕は自分の適当さに誇りを持ってる部分もあるのだが。


12/26 (火)


岡庭さんの撮影を手伝う。
昨日と打って変わってゆるゆるの雰囲気漂う現場。スタッフはわたし一人。朝から生憎の豪雨で、死ぬほど寒い中、ドンキホーテに脚立とブルーシートを買いに行かされる。これがいつもの岡庭組の現場である。チャリンコは必須。
撮影直前に、役者にストーリーを説明する岡庭監督。巨匠はそれでいいのだ。
「芝居は小学校の学芸会以来だ」と話していた自転車置き場の原崎さんは、突然、首吊りの演技をやれと言われてとまどいを隠せずにいた(でも笑顔)。


その後、
脚立の上で原崎さんが首を吊る(天井の表面が一部剥がれる)。
ガムテープで女優K西さんの顔面をぐるぐる巻き(岡庭ノリノリ)。
百円のナイフで模造の腕を切り落とす(げんなりその1)。
ブルーシートの上の血糊をティッシュで拭く(なぜか罪悪感)。
鼠の死骸を撮影(げんなりその2)。
午後四時、撮影終了。


撮影後、僕の家で休憩していると、なぜか岡庭さんの両足から白い煙が発生する。人体自然発火現象ではないかという見方が強まっている。自分の部屋が延焼するとまずいので、とりあえず外に避難し、晩飯を食って解散。


恐い人と、雨と、運転さえなければ、人の撮影を手伝うのは楽しい。