よいメリークリスマスを

pionee2006-12-24

12月23日、九十九里の片貝海岸で撮影。
今までで最も過酷なロケだったと思われる、受難のオンパレードな一日。
ドライバーがいないので自ら車を運転することになり(ちゃんと運転するのはおそらく八ヶ月ぶり)、朝八時、吉祥寺を出発して高井戸から高速に乗る予定が、首都高に入れずに都内を三十分ほどさまよう。
岡庭さんちの車を乗り捨てて、電車で行くことを真剣に考えたりしながら下道をうろうろしていると、知らないうちに首都高に入っていて、まったくもって東京はトワイライトゾーンである。
首都高の交通量の多さと道路のうねり具合に戦慄し、心の中で念仏を唱える。そんな状況でも遼君や岡庭さんはのほほんとしているが(それがまたいらいらしたりする)、同行のMRNちゃんは「死にたくない」と本音を漏らす。心の底からごめんなさいと思う。


大幅に時間をロスしながらも、何故かほぼ予定通りJR成東駅に到着、鷹彦のハイエースとも合流して、午後12時撮影を開始する。
予測不可能な動きで見切れてくるパラグライダーとその轟音に阻まれつつも、何とか撮影現場シーン、駐車場シーンの撮影が完了。日も暮れ始め、車を置いていた本須賀海岸に戻る途中、偶然すすきの生えた野原を見つけ、急遽、葬儀シーンの撮影を行う。
予定外ではあったがロケ地が未定だったシーンを消化して、午後五時、撮影終了。
そこで終わればよかったのだが、本須賀海岸に戻ると岡庭車が悪夢のバッテリー切れ。ハイエースに救援を呼んでもらって何とか事態を処理するが、最後の最後で最悪の災厄。
原因不明で何を恨めばいいのか分からないが、とにかく落ち込む。責任はすべて自分にあり、現場では言い訳それ自体がタブーになる。
しかも帰りの首都高で遼君が案内を間違えて、魔の首都高一周。夜の首都高速はさながらリッジレーサー。MRNちゃんが乗ってなくて本当に良かったと思う。
午後十時過ぎ、何とか吉祥寺に戻り、三人でラーメンを食べて帰宅。発作的に寝る。


大所帯で遠出して、食事休憩はないし、その上待ち時間も長い、最近の僕の撮影はとにかく待遇がひどい。心の中では本当に申し訳ないと感じているのだが、やってることは完全に鬼畜染みている。問題は、僕自身がそれに対してあまりタフではないことかもしれない。完成しても土下座ものだし、完成しなかったら切腹しても済まされない。
……とまあ、こんな調子で撮影のことを書いていると、どう転んでも最後には自省録や自己啓発っぽくなってしまうので、自分としてもなるべくそれは避けたい気がするのだが、でもここ2、3日に起こったおもな出来事といえば、撮影と一人でケンタッキーのファミリーパックを食べたことぐらいなので、ストーリーテリング的なスペクタクルという点でも、前者の方がまだましな気はする(とはいえ、一人でニワトリ半羽食べ尽くすことはそれなりにドラマチック)。