くえき

苦役列車』を見てきた。前作『マイ・バック・ページ』で肩透かしを食らったので、あまり期待しないようにしてたけど、結構良かったです。
これは基本的にはダメ男の日常を淡々と描くという、山下敦弘お家芸というか、原点回帰的な作品といえると思うんだけど、それが単なる自己模倣に終わらずに済んだのは、今回のダメ男は今はダメダメでもいずれは芥川賞作家になる、ということを観客が既に知っているからじゃないかと。
今までの山下的ダメ男には、「現状維持でオッケー」みたいな変な開き直りみたいなのがあって、今見ると結構痛々しかったりするんだけど、今回の主人公にはそれがなくて、友情も恋もすべて失ってもこれだけは譲れねえんだ、という確固たる意志(空元気?)があり、それゆえ最後まで希望が残されてて清々しい。まあ、そういう意味では、原作というか原作者のキャラクターに救われた部分があるのかもしれないけど。
いまおかしんじのそこかしこにインディーズ感の漂う、軽妙なシナリオも好感持てます。ともかくラストの数分間がいい。