祖父について

最近、田舎のおじいちゃんが亡くなった。
八十半ばで倒れてからはずっと病院と介護施設を行ったり来たりしてて、歳が歳だからいつ死んでもおかしくない状況を常に意識しとくべきだったんだけど、実際そんな状態が四年くらい続いたから、心のどこかにまだまだ生きられるんじゃないかっていう根拠のない楽観があったのだと思う。
それが今月の頭に突然亡くなったものだから、情けない話、覚悟というか心構えみたいなのが自分には全然出来てなくて、いざ葬式という段になると、動揺して自分でも信じられないくらい泣いてしまった。おじいちゃんが死んだことで、本当に、自分の人生の半分くらい失われたような感覚になった。
中学の時におばあちゃんが死んだ時も勿論悲しかったけど、今思えばそこまで絶望的な感覚には陥らなくて、それは多分、自分がまだ幼かったからという話に尽きるんだと思うけど、曲がりなりにも大人になった今、孫として立派に成長した姿をおじいちゃんが生きている間に見せてあげられなかったことが残念で仕方ない。別にいい仕事に就くとか結婚するとかそういう具体的なことじゃなくても、自分が今やっていることについてもっと話すとか、自分が作ったものを見てもらうことくらいは出来たはずなのに、結局そんなことすらしなかったのが本当に悔しくて、自分を情けなく思った。
この頃はだいぶ落ち着いてきて、おじいちゃんが元気だった頃のことを思い出すと、悲しいというよりはノスタルジックな、何となく穏やかな気持ちになる。いつもにこにこしていて、運転が好きで、すごくゆっくり喋る人だった。めちゃくちゃ優しくて、おそらく地球で一番優しい人だったんじゃないかと思う。少なくとも僕が知る人の中では最高に優しかった。
心からご冥福を祈ります。