深夜四時の攻防

先日の話なんだけど、やっとショックから立ち直りかけているので書きます。
そろそろ夏も終わろうかというこの時期に、僕が宇宙で一番嫌いなアイツがとうとう家に出ました(ご想像におまかせ)。宇宙で一番というのは大袈裟でも何でもなく、苦手とかいうレベルを飛び越えてもはや恐怖!
ダイニングに現れたそいつは、身の丈10cmはあろうかという超巨体にも関わらず、目にも止まらぬ速さで動き回っていた。地上七階になぜ……完全に虚を突かれた形。あいつらは頭が良いくせに、たまに人間に「見つかる」というヘマをやらかすのだ。もしかしたら、わざとかもしれない。どうしようもない連中である。
スプレーなどの買い置きはなく、素手で対抗するなど僕にとっては論外であり、差し当たってどうすることも出来ない。しかもよりによって、普段家にいるはずの彼女が実家に帰省してて、一人パニック状態の僕はパニックルームに逃げ込むことも出来ず、そもそもそんな大仰なものはうちにはなく、情けない話ではあるけど、とにかく彼女に電話(深夜四時)。
結局、活路を見出す方法は勇気しかないと諭された僕は、奴のいるダイニングを一心不乱に駆け抜けて外へ、ほとんど廃人の態でコンビニに行き、市販の罠を購入した。エサで誘い込み、粘着性の床で動けなくするという例のやつだ。家に帰ると姿はもうなく、買ってきた罠を仕掛けて、その晩はなんとかやり過ごした。でもあれから数回の夜を越えているというのに、罠には何の痕跡もなし。
あの日以来、安心して眠れたことは一度としてない。恨めしい!