カメラを持った男、カメラを持たされた男

pionee2007-01-16

久しぶりの日記になるが、撮影を何度か無理くりこなした今でも明日明後日の見通しさえ悪く、慢性的にぎりぎりの状態である。しかしながら、何かこの二度と味わうことのないであろう、けったいな状況を楽しもうとする心の余裕みたいなものが何となく湧きつつある。今頃?


そんな訳で、昨日は山倉君の最後のロケ(深夜から明け方にかけて、都内某所の公園で90年代トレンディドラマを彷佛とさせるワンシーンを撮影)に同行。
実は「ゆっくり人間」初参加である。このままではクレジットに名前を載せてもらえない、と半ば強引に撮影隊に加わる。とはいえ、監督以外にスタッフは僕だけだが。無頼の現場。
深夜十二時半、役者らに先駆けて山倉監督と二人でチャリンコをぶっ飛ばし、ロケ先の公園に向かう。
午前一時、公園到着。
ところが思いのほか園内が暗くて(まあ、夜だし)、予定していた場所では撮影が困難であると判断した山倉さんは急遽、敷地内の変なトイレの前で撮影を敢行。
元々どんな場面になる予定だったのかは知らないが、代替案であるトイレで撮影したことが結果的に面白い作用を生むならば、それは結果オーライを飛び越えて完全にOKピーポーである。


撮影という行為が脚本の檻から解き放たれて、それでも自立する瞬間の快感というのは、予定調和を常に目指してしまう自分でもやはり否定できない。頭の中のイメージと折り合いをつける為に、ただ漫然とカメラを回す作業はひどくつまらなく、目の前で起こっている出来事を撮影しているはずなのに、何処か臨場感に欠ける。多少脚本を裏切ってでも、「その時撮れる面白いものを撮る」というヤマクさんの撮り方は、自由でとても面白いと思うのである。


午前五時頃、トイレでの撮影を終え、わんぱく広場に向かう。
皆で日の出を待つ間、次なるシーンの準備を整える。
ターザンロープにぶら下がったりアスレチックに登ったりして、寒さに耐えながら動作の練習を行う。てろてろのジャージーを着た市民ゾンビが公園内を徘徊する中、その瞬間をひたすら待ち続ける。
午前六時過ぎ、ようやく雲間から朝日が出て、最後の撮影も無事終了。
死ぬほど寒かったが、楽しかったのでよし!