ダウジングについて少し

一般的に、ダウジングにはL字やY字の形をした棒状のロッドと呼ばれるものと、振り子型のペンデュラムの二種類があり、どちらも地下の水脈や遺失物などを探し当てる目的で使用されているのだが、占い道具の店などで既製品を買おうとすると、振り子型の物で一個三千円くらいするので、材料を集めて自作のダウジング道具をこしらえてみる。
針金ハンガーを折り曲げるだけで出来るのでロッドタイプの方が実は簡単なのだが、失踪者を捜し出すという目的には振り子の方がしっくりくるような気がして、ペンデュラムタイプのものを作ってみようと思う。


材料を集める為、とりあえず吉祥寺のユザワヤ(店員がなぜかタメ口)に行くと、四階服飾コーナーのカッティング台の前で、布地の裁断を待つ婦女らに交じって岡庭さんが突っ立っている。
目が合い、お互い無言でうなずく。彼もまた映画の小道具を買いにやってきた男の一人なのだ。
七階の工芸材料のコーナーで、カッティングされた黒い石と銀色のリング、Cカン、チェーンといった材料を購入し、家に帰って振り子作り開始。


五分後、振り子完成。
意外に簡単に出来るなーと感心しながら、早速振ってみる。なるほど確かに自分の意志とは無関係に動いている(ような)。なかなかいい案配である。


そして本日の撮影。
午後二時半、生憎すぎる雨の中、録音係の山倉山とともにレインコートに身を包み(さながら台風レポートの態)、寒さに凍えながら撮影を開始。
マイクテストで、役者のポール氏が謎のラップを披露。一同唖然ののち爆笑。ポール氏はダウジングによって失踪した映画監督を捜索する外国人捜査官の役である。
ポールもヤエコさん(通訳)も唯一無二の雰囲気があって、本当は二人だけで映画が一本撮れるくらいの存在感なのだが、実際今日の撮影が本編の中ではたった数分間のシーンになる。なんて贅沢なんだろう、と思いながら。


午後四時頃、撮影終了。
ヤエコさんの差し入れのカフェオレ大福を皆で食べる。バリうま!
でもやたら寒いので大急ぎで撤収。
家の近所でこんな過酷なロケを敢行することになるとは思いも寄らなかったが、今日の撮影はまた、映画の撮影以外には有り得そうにない顔合わせだったので正直わくわくした。
自分の引っ込み思案を束の間忘れる。